第1回に引き続き、第2回も比較的基本的なグラフでいきたいと思います。
男性で4時間を切るランナーは上位から3割以内、という話はよく知られていますよね。これを表すグラフです。つまり男女それぞれについて自分のタイムが上位から何%目なのかが分かるグラフです。
ただしこれはランナーの年齢構成に影響を受けます。第1回で示したように30~50代半ばぐらいのランナーに速いランナーが多いのですが、この年齢のランナーが少なければ同じタイムでも順位は上がりますし、この年齢のランナーが多ければ同じタイムでも順位は下がってしまいます。
そして第1回で示したように現在の日本の年齢構成ではこのタイムのランナーの人数が多いので比較的順位が上がりにくい状態ということになります。
下に男女それぞれ3種類のグラフを示します。
灰色の「全体」グラフが単純に全ランナーのうち上位何%の順位になるかを示しています。男性の4時間は上位30%くらいですし、女性の4時間は上位10%ちょっとです。これが一般によく知られたタイムと順位の関係です。
青色の「全年齢平均」は人口の年齢構成の影響を受けないように、年齢毎にタイムと順位の関係を計算しそれを平均したものです。これをみると男性の4時間は上位20%、女性の4時間は上位10%以下であることになります。
追記:オレンジ色の「全年齢平均(参加率考慮)」は、人口の年齢構成の影響は受けないものの、年齢別のマラソン参加率を考慮したものです。
つまり現在言われているタイムと順位の関係は、日本の年齢構成(=タイムの速いランナーが多い)および参加率の影響を受けていて、不利(同じタイムでも順位が低くなる)であることが分かります。年齢構成と参加率が違う他の国に行けば違う結果になるはずですね。(追記:グラフをみると参加率の影響が大きくて年齢構成自体の影響は小さいことが分かります。)
年齢毎の順位が分かるように、年齢別のグラフを作ってみました。ただし1歳刻みだとグラフの本数が多くなりすぎるので5歳刻みにしてあります。全日本マラソンランキングで表示される順位は年齢毎の順位なので、ほぼこれに相当するものです。
まず男性です。20代の若いランナーはタイムが速いランナーもいて、上位で逆転しているのでサブ3:30を拡大したグラフも示します。
3:45より遅いタイムでは、若い年齢ほど同じタイムでも順位が上で(つまり全体的に遅いランナーが多い)、年齢が上になると同じタイムでも順位が下(つまり全体的に速いランナーが多い)となっていることが分かります。
そしてサブ3:15あたりより速いタイムでは若い方が速いランナーが多い(順位が上がりにくい)ですね。
さらに55歳以上になると年齢が上がるほど同じタイムで順位が上がりやすい(つまり全体的に遅くなっている)ことが分かります。ここから先の年齢ではタイムを維持できれば順位がどんどん上がっていくということです。
次に女性です。女性も男性と同じ傾向です。
サブ3:15あたりから上位ではやはり若い人の方が速い人が多くなっています。
そして55歳以上になるとタイムが落ちていきます(同じタイムで順位が上がっていきます)。
よくみると50~54と55~59の差が男性より小さいですね。つまり50代後半でのタイムの低下は女性の方が男性より小さい、ということになります。
第2回はここまでです。
タイムと順位の関係は人口の年齢構成と年齢別の参加率に依存してるという点は意外と盲点かもしれません。
そして今回のグラフを使えば自分のタイムが全体のどれくらいの順位か、同年代でどれくらいの順位か、どれくらいの年齢から先はタイムを維持するだけで順位が上がりそうか分かりますね。
またネタ(作り置きしてあるグラフ)はあるので、つづきます。
追記:年齢別の参加率を考慮するのを忘れていたので、グラフの追加、記述の追記を行いました。本文中の太字が追記です。