ラン×グラフ

ランニングしながらグラフを更新するブログ

VDOTによる練習ペース設定について考える

ダニエルズさんによるVDOTによる練習ペースの設定について、最近考えることがあるので記録しておきます。

VDOT(走力)と練習ペース

走力の目安となるVDOTについての正確な説明は「ダニエルズのランニング・フォーミュラ」に書いてありますが、書籍の中身にリンクを張れないので、「VDOTとは何か」をご覧ください。大勢のランナーのデータを取って作られたものです。

私の走力は直近の距離別のタイムからVDOTを計算すると、

 5K  2019/01/06 VDOT 44.2
 10K 2018/11/26 VDOT 42.3
 ハーフ 2019/01/13 VDOT 43.3
 
30K 2019/02/17 VDOT 40.6
 フル  2019/03/17 VDOT 38.9

となります。

本来は1つのVDOTに対して距離別の等価タイムが示されているものなので、どの距離を走ってもほぼ同じになるはずです。しかし私の場合には距離が長いほどVDOTが低く、距離が短いほどVDOTが高くなっています。つまり長距離より短距離の方が平均的なランナーと比べて「速い」(長距離が「遅い」)というわけです。

ちなみに私の現在の目標フルマラソン3時間45分(切り)はVDOT 41.0、3時間40分の場合にはVDOT 42.1 です。(VDOT計算機では違う数字が出るようですが、ランニング・フォーミュラの表から計算しています。VDOT計算機は辻褄が合わない結果が出るので私は「ランニング・フォーミュラ」を見ることにしています。)

設定してもらったダニエルズさんメニューでは、目標レースが3時間40分となっていて、VDOT 42 で練習メニューが設定されています。(自分でVDOTを変更すると自動的に練習メニューペースも変更されますが)

VDOT 42の練習ペースは以下の通りです。

 E asy:   5:53~6:28/km
 M arathon: 5:14/km
 T hreshold: 4:54/km
 I nterval:  4:31/km
 R epetition: 4:15/km

ダニエルズさんの練習メニュー

設定してもらったメニューでは週に2回 Quality Session があって、間の日を Easy Run(Easy ペース走)でつないでいます。(このあたりも「ランニング・フォーミュラ」に書いてあります。)

Quality Sessionのこれまでの内容は以下のとおりです。日

 日 Eペース10km + ストライド20秒×6
 水 Eペース10km + ストライド20秒×6
 日 Eペース14km
 水 3kmジョグ + Tペース2km×2 + Iペース2分×3 + Rペース200m×4 + 3kmジョグ
 日 Eペース3km + Mペース10km
 水 (Eペース2km + Mペース6km)×2
 日 3kmジョグ + Tペース2km×3
 水 3kmジョグ + Tペース2km×2 + Rペース200m×4 + 3kmジョグ

日曜日はロードで、水曜日は帰宅ランで走っていましたが、直近の2回の水曜日の赤い部分(いわゆるスピード練習?)は荷物を背負って帰宅ランでできる内容ではありません。そこで仕事が終わった後、織田フィールドに行ってトラックで走りました。

おそらくTペースは、VO2Maxまで上げるのではなく、その前段階として心拍数が上げていくためと思われます。いきなり速く走ってしまうと心拍数が上がる前に疲れてしまい、肝心のVO2Maxまで上げるセットを繰り返せなくなるからと考えられます。

同じ理由でインターバル走は必要以上に速く走らないようダニエルズさんは指摘しています。酸素摂取量はVO2Maxまでしか上がらないので、それに必要な速度以上で走ってしまうと疲れてしまい肝心の目的を果たせなくなるからです。

最初の週にIペースの後にRペースがあるのは、Iペースで心拍数が上がりやすくなった状態で、Rペースで走れば短い距離で心拍数を上げることができて回数をこなせるからではないかと思われます。

スピード練習1回目

最初の水曜日は設定ペースで走り始めたのですが、5kmであればVDOT 44で走る私にとってVDOT 42の設定は緩すぎました。

苦しければいいというものではありませんが、このスピード練習のメニューの目的がインターバル走の目的と同じだとすると(酸素摂取量VO2を最大酸素摂取量VO2 Maxに近づけることで最大酸素摂取量の向上を促す?)、走行中のピークの酸素摂取量が十分に上がらないのでは目的を達することができません。

そこでT、I、Rともに設定ペースを上回るペースで走ってみましたが、まだ最大酸素摂取量近くまで上がっていない感じがします。(ダニエルズさんによると酸素摂取量は走行中には測定できないので、心拍数が最大心拍数近くまで上がっているかどうかで判断できるそうです)

以下は最初の週の設定ペースと、実際のセット毎の平均ペースとセット毎の最大心拍数です。(私の最大心拍数は190bpmちょっとくらい最大心拍数の95%が180bpm程度)

 Tペース2km 設定4:54/km
  4:48/km+4:38/km 175bpm, 4:52/km+4:35/km 178bpm

 I ペース2分 設定4:31/km
  4:17/km 181bpm, 4:10/km 181bpm, 4:01/km 184bpm

 Rペース200m 設定4:15/km
  3:46/km 181bpm, 3:45/km 183bpm, 3:45/km 184bpm, 3:48/km 183bpm

スピード練習2回目

次の水曜日(一昨日)は最初から意識的に設定ペースより速めで走ることとして、今回はようやく追い込めた実感がありました。

 Tペース2km 設定4:54/km
  4:25/km+4:38/km 174bpm, 4:40/km+4:27/km 181bpm

 Rペース200m 設定4:15/km
  3:33/km 182bpm, 3:23/km 181bpm, 3:41/km 181bpm, 3:37/km 181bpm

 

上の2週の結果から太字にしてある心拍数(セット毎の最大心拍数)を見てみましょう。いずれも181~184の範囲内です。

十分に追い込めなかったと感じた最初の週の方がむしろ心拍数が高いようにも見えます。

びあー練

ちなみにその少し前にびあー練では1kmインターバル走を5本走りましたが結果は以下の通りでした。今の方が気温が上がっているため心拍数は上がりやすいはずなので単純比較はできませんが、ペーサーがついてたこともありこの時は最大心拍数まで上げられていたようです。

4:22/km 177bpm, 4:30/km 181bpm, 4:15/km 187bpm, 4:17/km 188bpm, 4:06/km 191bpm

きつさ、という意味ではびあー練の方がきつかったので、より負担の少ない練習で効率よく回数多く心拍数を上げられるのは、ダニエルズさんメニューの方かもしれません。

まとめ

追い込んできつい方が達成感を得られますが、練習も目的を考えながら必要以上の負荷をかけないこともオーバートレーニングによる故障リスクを下げ、さらなる練習の余地を残すためには重要なのだろうと思います。(ダニエルズさんが繰り返し強調している点)

そういう観点から今後のスピード練習の設定ペースをどうするか、試行錯誤して適切なペースを見つけ出す必要がありそうです。

 

なおダニエルズさんは、距離によってVDOTが違う場合には距離の長い方を選ぶ、練習メニューで迷ったら負荷の小さい方を選ぶように言ってます。

負荷を上げることによるメリットよりも、ケガによって練習を継続できなくなるリスク、疲労が残ることにより次の練習の質が下がることのデメリットの回避を重要視しているようです。