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接触を8割減らすってどういうこと?-マラソンに喩えてみた

緊急事態宣言期間の1ヶ月の間に接触を8割減らすことを求められています。

総理は最低でも7割、できれば8割と言っているようですが、8割削減の必要性を示された西浦先生は7割ではだめで8割だとおっしゃっています。

ところで自分が接触を何割削減できているか分かっている人はいますか?

8割削減と連日言われつづけて、もやもやしていませんか?

報道している人達もきっともやもやしながら気がつかなかったことにしているんだろうと想像しています。

接触というのは感染機会になりうる接触のことですが、日常生活の中にそのような接触機会がどれくらいあったか、今どれくらいか記録できそうな気はしませんよね。

8割削減とは何か

人と人が「接触」した時にどちらかが感染していれば感染のリスクがあります。接触したからといって必ず感染するわけではありません。1回接触する毎に何%かの感染リスク(確率)があるとします。

1日に接触する人数が多ければその回数が増えるので感染の可能性が高まります全人口に占める感染者の割合が増えれば接触した相手が感染している確率が上がるのでやはり感染する可能性は高くなりますよね。

そういう前提を数値としておいて式で計算すると1日に何人に接触するとどのように感染者が増えていくか予測できるわけです。そういうモデルが使われているようです。

このモデルを使うと、接触回数(人数)を8割削減したら1ヶ月後に新規感染者が何人まで減少するか計算できることになります。

西浦先生が計算したところによると7割では新規感染者の減少は不十分で、8割減らせばなんとか目標に達するということだったのだと思われます。

私も報道されていることを鵜呑みにせず自分で計算していますが、どうやら非常事態宣言期間の間8割削減を続けることは最低限必要そうだとわかりました。

減少が不十分だった場合には今以上に厳しく社会活動を制限しなければならない期間が長期化するだけでなく、累積患者数も積み上がっていくので医療機関は一層厳しくなります。

7割でもいいとは言っていないと西浦先生がくどく繰り返すのはそういうことなんだろうと思います。

ただしモデル上の8割削減には前提があります1回の接触毎に生じる感染確率1日に接触している人数です。新型コロナウィルスの1回あたりの正確な感染確率は未だわかっていないでしょうし、1日の接触人数もおおざっぱに仮定するしかないと思います。

つまりモデル上8割に相当する接触機会の削減をしなければならないということであって、実際の接触回数を8割減らすということは必ずしも意味しないと思います。(9割かもしれない)

8割減らせていますか?

ところで私達は生活の中で接触を8割減らせているでしょうか。どうやって確認したらいいでしょうか。

マラソンでは目標タイムに対して必要なペース配分があります。8割削減は言ってみればこのペース配分にあたります。

たとえば4時間を切るためには1キロあたり5分40秒くらい(60分×4時間=240分、240分÷42.195km=5分41秒)、給水を考慮するともう少し速く5分35秒くらいで走りたいところですよね。

走っている時にはランニングウォッチで今のペースを確認したり、5km毎の標識の通過時間で正しいペースで走れているかどうか確認できます。

ところが「8割減」はそのような確認ができません。

だから8割減をいくら強調されても、どうしたらいいの?感があるのは当然です。自分のペースが全く分からずに時計も距離標識もなく目標タイムだけ決められて初めてマラソンを走るようなものです。

テレビでは携帯のデータや駅等の利用情報等を使って、以前の何割減と報道していますが、これは「接触」の減少率ではありません。

人数が減れば人と人との距離が離れるので接触の回数は大幅に減るかもしれませんし、人数が減ってもみんなが固まっていれば人数の減少ほど接触回数は減っていないかもしれないからです。

したがって7割減でも8割減でも確認できないのであれば実は大して違いないと言うこともできます。答え合わせ(達成できているか確認)できないわけですから。

それではどうしたら

「じゃあ一体どうしたらいいんだよ」と言いたいですよね。

定量的な把握はできないとしても8割減は相当厳しい目標であることは間違いなさそうです。また感染者増とそれによる医療破綻しつつある現状を考えると減らしすぎ、ということはないはずです。

8割減らしたところでその先の長期戦が待っています。ましてや減少が足りなければ大惨事です。

せめて長期戦に持ち込むためにどうしたらいいか、ということであって、8割減らしたところがゴールではありません。ウルトラマラソンのスタート地点につくための必要条件というところです。

必要なペース配分が分からないマラソンをある目標タイムを設定されて走らなければならない時、あなたはどうするでしょうか。

100メートル走のペースで走ってしまったら走り続けられませんが、走り続けられるペースで最速の速さで走るしかありませんよね。

その後に待っているウルトラマラソン(長期戦)のスタートラインにつくために、生活を維持しながら、そして自分以外の人の生活も維持できるように思いやりながら、全力で走り続けるしかないのが現在の局面と私は理解しています。