(2)から続きます。
第1エイド(池尻スキー場)を出るときも完全に一人旅でした。登りが続くのでゆるゆると走って行きました。
ちょっと走ったところで反対側からわたなべさんがやってくるのが見えました。
わたなべさんが「沼尻相互走行区間ですれ違った時は30分くらい先行してそうだった。」と書いているのはこの部分です。
どこですれ違ったか正確には確認できませんが、ログでざっくりあたりをつけて計算したところ40分ちょっとぐらい先行していたようなので、だいたい正確な読みですね。(トイレの場所違ってて余計に時間かかったからで、実際は差は30分ちょっとなのです)
その後に2、3名すれ違いました。最後のランナーに数名スタッフが併走していたので「スイーパーですか?」と訪ねたところ、満面の笑みで「そうですよ。」とお返事いただき、自分が後ろから何人目くらいなのか確認できました。
ほぼ最後尾グループではありますが、疲労感がひどいということはなく、次のエイド(塩沢温泉スキー場)までは問題なくたどり着けそうです。
相互走行区間が終わり、北上する分岐のあたりの様子が上の写真です。
このちょっと先から走行禁止区間が500mほどあります。火口から流れてくる川を渡る場所あたりから川に沿って登る区間です。
川が見えて、硫黄の匂いが強くなってきます。
谷に向かってつづら折りを下る途中にきれいな湧き水がありました。下の写真がそれですが透明すぎて水があるようには見えないですね。
ここに手を入れて血液の循環を通じて身体の中から冷やしたり顔を洗ったり首の後ろを冷やしたりしていると、後ろからランナーさんが来たのでちょっと話をしました。
このランナーさんはこのちょっと前に追い抜いたような気がしますが、記憶違いだったかも。この後、なんどか追いつかれたり、離したり、また追いつかれてしばらく話をしながら走ったりする方です。
谷底に到着し川を渡ります。火口から流れてくる水は白濁しています。
上流に向かって川に沿って登っていきます。
川の反対側にあるコースマークを見つけながら、蛇行する川をなんどか渡ります。
何回かの渡渉が終わると川の北側の山の斜面を川に平行に登りました。途中から斜面を上に登るルートに変わります。
この先、どこが「道」か分かりにくいところが何カ所かり、立ち止まってちょっと遠くにあるコースマークを見つけながら登っていきます。
谷の方を振り返るとこんな風景が広がっています。尾根まではまだまだ登らなければなりません。傾斜が急でかなり厳しい区間です。
標高グラフをみて「もうちょっとでピークだからピークにたどり着いたら一回、休もう」と自分を励ましながら登っていきます。
もう少しでピーク(実際にはまだ標高差200mくらいあったのですが)というところで、先行するランナーさんが休憩しているのに会いました。
あとどれくらいでピークですかね、と聞かれて確認したりして、思っていたよりもまだまだ登らなければならないことが分かったので、私もここで一回休んで補給することにしました。
ようやく登り切ったかというところに、胎内岩がありその先にいるスタッフさんに「ここをくぐったらもう登りは終わりですよ。」と声をかけてもらいました。
胎内岩のところではもう写真を撮る元気もなく、どんなところかはわたなべさんのレポをみてください。ザックを背負ったままだとひっかかりそうな気がしたので、背中から下ろしてくぐりました。
急な登りはそこまでで終わり。ここからハイキングモードになります。
ずっと他のランナーさんに出会わず、あまり走れもせず、「これはただのハイキングじゃないの?」と思ったのはこのあたりです。標高が高いためかまわりはハイマツのような低木ばかりです。
何グループかハイカーさん達と言葉を交わしながら抜いてきました。このレースのことをご存じのハイカーさんもいて、私はほとんど最後尾なんですよーとか話をし、応援していただきました。
ハイカーさんよりは大分速い自分のペースが確認できて、ハイキングモードだけどハイカーさんペースではないと自分を慰めます。
うさぎのようなモニュメントに和みながら進むと山小屋がありました。
ここを左に曲がって北に向かうのですが、うっかり右の方にいきかけて、スタッフさんに「こっちですよ」と誘導していただきました。
登りが終わって下るのは楽かなと思ったら、ここからが別の意味で大変でした。
狭い道が泥で滑ります。中央が溝のようになっていてその底が泥や水たまりで滑りながら進んでいくようなところはまだましです。
大きな水たまりがあってそこに足をつっこみたくない(シューズの中が水浸しになると足裏の皮がふやけて、破れて大変なことになりそうなので)、どうやって水たまりを避けるか考えながら進みます。
道の中央が川になっていて、それを渡る時にすべって水に何度か足をつっこみました。
泥ですべっても尻餅はついていないと思っても脚の側面が腿まで泥だらけになり、さらにその後、2回ほど尻餅(といってもドスンと落ちたのではなくて滑ったあげくにお尻まで着いたという感じ)もつきました。
上や下の写真に撮ったのはまだ余裕があったからで、大変だった区間では写真を撮る余裕もありませんでした。
完走するようなランナーさん達はここの走って降りていったのだろうかと想像しながら進みました。
大変だったところは他のところにも色々ありましたが、心が折れそうになったのはこの泥と水たまりの下り区間でした。
今回のレースの前に雨を想定してゴアテックスのトレランシューズを調達していました。経験不足をギアで少しでも補おうというわけです。
結果としてはこの区間や第2エイドの後の渡渉で何度か水に足をつっこんだにも関わらず、シューズの中がぐしょぐしょに濡れることにはならなかったのはラッキーでした。
苦労しながら泥の下りを進んでいくと、谷で会ったランナーさんに追いつかれました。ちょっと言葉を交わして、頑張ってペースを上げて引き離します。
ようやく乾いた道に出てちょっと進むと、斜面の勾配がすごく急な区間に出ました。
鎖を持って後ろ向きに慎重に降りたところの後あたりでさっきのランナーさんに追いつかれ、ここからしばらく話をしながら進みます。
ロープのついている階段ではロープを持って慎重に降りたにも関わらず、階段で滑って何段か落ちたりしました。幸いケガはしませんでしたが。
下っていると、気持ちも体力もまだ余裕がある感じにも関わらず、足運びが危ういのを実感していました。(足が「おじいちゃんになった」と表現しました)
第2エイドまではいけるけど、その後の最後の山に挑戦していいのだろうかと考え始めます。足元は危ういし、ガーミンの予測タイムによると12時間を超えるというし、明日は仕事もあるし、とネガティブモードに入ります。
そういえば第2エイドからフィニッシュ地点(スタート地点)まで、移動する方法があると聞いたなと思い出し(第2エイドからリタイア者は車で送っていただけることは知らず)、気持ちはまだ余裕があるけどそこでリタイアしようかと一人で走っていた時に考え始めていました。
一緒に走ることになったランナーさんにそのことを話したところ、その方も一緒にリタイアしようかということになり、一旦は二人とも第2エイドでのリタイアを決めていました。
滑る区間もないし二人で話をしながらだとさっきまでの心折れそうだったのが嘘のように楽しく走れます。
そうしていると、後ろから人の気配が。あっという間に近づいて来たので振り返るとわたなべさん ( id:hatakofuru )でした。
「前に久しぶりの人影見えて、ハイカーさんかなーと距離近づくと、選手だった!え?追いついた♪しかもたかさんだったw」
というのがわたなべさん側からの視点です。
「わたなべさん!さすが!」
と声をかけます。
わたなべさんとはトレランの経験も持久力も普段の山練のレベルも違うので、どこかで追いつかれることを想定して走ってはいました。
ここでリタイアの予定についてわたなべさんに話すと、当然ですがわたなべさんはフィニッシュ地点まで行くと(1周はする)ということでした。
それを聞いて、ちょっとやる気が出て「それじゃ私も1周しようかな」と心が揺らぎ始めます。
迷いながら第2エイドに到着しました。さっきのランナーさんとほぼ一緒で3人でエイド入りした格好です。