(3)から続きます。
リタイアするか1周するか迷ったまま塩沢温泉スキー場の第2エイドに3人で到着しました。
エイドに入るとほぼ最後尾ということもあり「水のボトル何本でも持って行っていいよ」と言われました。
そう言われても3本あればフラスクとハイドレーションバッグは一杯になるので、規定通り3本いただいて水を補給します。
スポーツ麦茶の粉末もいただいたので、フラスクの1本に入れて麦茶にしました。電解質タブレットをしっかり摂っていても、水ばかり飲んでいると身体がなにか足りないと訴えているようで麦茶はありがたかったです。(この後、麦茶を飲む度に「麦茶美味しい!!」と言っていました)
リタイアするか迷っているのに、この後も進む準備をしていたんですよね。
最後尾付近の私より先にリタイアした人はいないだろうと思って聞いてみたところ、既に十数人リタイアしたとか。ケガをしたとか具合が悪くなったランナーさん達だそうです。
私はと言えば、足元がちょっと怪しい時があることと、12時間超えそうなこと、暗くなりそうなことがリタイアするか迷っていたポイントだったので、疲れているとは言ってもまだまだ元気な顔をしています。
エイドスタッフさん達は、ランナーの具合が悪そうだったり疲労困憊で元気がなかったりする場合にはリタイアを進めているそうですが、私は
「元気そうですよね」
「まだ明るいからもったいないですよ」(途中で暗くなってきますという注意はありました)
「残り9キロですよ」
と言われてしまいました。
もちろんスタッフさんも煽っていただけではなく、ここでリタイアもありという両方の選択肢が並べられました。
エイドでちょっと休んだこともあって、スタートできない感じではありません。事故なく無事に、ある程度の時間内にスタート地点に戻れるかどうか、暗い道をライトをつけて走った経験ないことが悩むポイントでした。
わたなべさんがトイレに行っている間(エイドから距離があり往復に時間がかかります)に、エイドのスタッフさん達と話をしました。
スタッフさん「3人で一緒にスタート地点まで行ったら?」
私「たまたまこのちょっと前で一緒になっただけなので一緒に走ってるわけじゃないんですよね。」
ひとりは知り合いではないけど、わたなべさんは私がランニング始めたころからお世話になっている人なんですよね、と雑談で話たところ、「それじゃその人に連れて行ってもらったら」と提案されました。
私「それはダメですよね。」
わたなべさんも自分のレースを走っていて、私を連れて行くということは責任を負ってもらうことになるし、まだまだ余力のあるわたなべさんとはここから先のペースも違うのでタイムにも影響してしまいます。
そしてわたなべさんがトイレから戻ってきたところ、わたなべさんのブログにあるように、
「「こちらのランナーさんをゴールまで連れてってあげて」と言われましたwww」
となったわけです。わたなべさんは驚いてはいましたが引き受けるとも断るとも言いませんし、私もあえて辞退はしませんでした(ちょっとずるいですね)。
いずれにせよ、色々話をしたことで先に進む元気は出ていました。わたなべさんに連れて行ってもらうかどうかは別として、行けるところまでは一緒に行こうと思い、一緒に出発して話をしながら進みました。
ここからスタート地点までの山はこれまでの2つの山よりは低いので、泥や水たまりさえなければと思いながら登り始めたのですが、これが結構大変なルートでした。
川幅がそこそこあり水量も多い川の渡渉が何カ所もあります。
橋や丸太が渡してある川もあるのですが、あるところでスタッフさんに木の方が危ないから岩を飛んで渡ってくるように言われ、その後、何カ所かそのような箇所がありました。
時々、うまく飛び移れずシューズを水に突っ込んでしまったりします。(中に入った水は少量ですぐに乾きましたが)
川の下流側が大きく下がって(よく確認しなかったので記憶違いかもしれませんが)すぐ下が滝のような印象の場所もありました。鎖やロープを使ってよじ登っていくような場所や、大きな傾斜のある岩をそこに張ってある鎖をつたって進むような場所もあります。
いずれも慎重に進めば問題無い程度ではありますが(すごく危ない場所を通らされたわけではないという意味で)、スリリングで面白いながらも大変な登りでした。
そんなルートを話をしながらなので楽しく登っていったのですが、そのうちわたなべさんに追いつけなくなってきました。
心拍数は低めですが、息が上がってきて、心臓の鼓動が頭に響いてきます。エネルギー切れの感じがあるのに気がつきました。(去年の湘南国際マラソンでレース後にいわゆるハンガーノック状態になったことがあるのを思い出しました。)
ペースが落ち、待ってもらうことが度々有り、わたなべさんに迷惑をかけている程度が増してきて申し訳なくて、よっぽど「先に行ってください」と言おうかと思いました。
言った方がよかったかもしれませんが、自分のコンディションが悪くなっている時に先に行ってもらって、もし私に何かあったらその方がもっと申し訳ないと思い、ここは迷惑をかけることにしました。
わたなべさんにちょっと待ってもらって、2度ほど補給食を食べたところ、少ししてまた元気が戻ってきました。考えてみたら3山目に登りながら食べる予定だった補給食袋に手を付けるのを忘れていたのです。(それを摂った場合でも用意した補給食の半分なので、これを怠ったのはまずかったですね)
登り区間が終わり下りを少し行ったあたりでしょうか。 他のランナーさん(2名)に久しぶりに会いました。2周目の人だろうと思い尋ねたところ1周目のランナーさんでした。つまり私達と同じ位置にいるわけです。この方達を抜いて進みました。
そのあたりからちょっとずつ走ったり歩いたりを始めました。(たぶんわたなべさんはずっと走っていけたと思いますが私の様子をみながら調整していた感じです)
その後も何名かランナーさん達に追いついたのですが2周目の方ばかりでした。
徐々に走る頻度を上げていき、走りながら下り坂を下りていったところ、下の方からちょっと賑やかな感じの音声が聞こえてきました。スタート地点(フィニッシュ地点)のアナウンスの声でしょうか。
そろそろ私は放置でいいと判断したわたなべさんはスマホを取り出してBGM(三浦大知ですよね!)をかけてペースを上げます。
「BGMかけて(わたなべさんの)ペースが上がった!」と私もペースを上げてついていきました。
途中で第2エイド前からエイドまで一緒だったランナーさんと遭遇して声を掛けられました。リタイアしようかと一旦は決めたふたりとも結局リタイアしなかったんですね。
わたなべさんは私に合わせたペースで山を越えてきたので余力があり(そもそも持久力もあるので)余裕で飛ばしていきますが、私は結構必死についていく感じでした。(脚の疲労が...)
フィニッシュゲートまでついていくつもりだったのですがあと数キロ(確か2キロくらい?)あたりで、いよいよついていけなくなりペースダウンしてしまいました。
躓きそうになったのをきっかけに私は歩き始めます。一旦、歩き始めると歩きさえ安定感のない感じになってしまいました。
残り1キロになりましたが(キロ表示があるわけではなくて、ガーミンにコースを入力しておいたので残り距離が表示されるのです)、もはや走れる気はしません。
最後の直線に入ってフィニッシュゲートが見えたところから、やっと走り始め、まるで完走したかのようにフィニッシュゲートをくぐりました。(制限時間オーバーで関門にかかったのに、このあたりの演出はありがたいです)
ひとりで第2エイドに入っていたら、おそらくそこでリタイアしていたと思います。そして余力があるのに1周しなかったことを思い返して悔しく思ってたかもしれません。
たまたまそのタイミングでわたなべさんと合流し、エイドスタッフの方達と話をして元気が出て、わたなべさんに一緒に行っていただいたことで、1周33キロを「完走」できました。(完走じゃないけど、自分の当初の目標距離ということで、気持ち的には「完走」)
レースなのに、自分のタイムをもっと削れたはずなのに、放置しても大丈夫と判断できるまで一緒に進んでいただいてわたなべさん本当にありがとうございます。第2エイドで励ましてくださったスタッフさん達にも感謝です。
そしてなによりコロナ禍というきわめて難しい状況の中、レースを開催してくださった主催者やボランティア、地元の方々、関係団体、自治体、など本当に感謝いたします。
フィニッシュ後は、シューズの泥を流し、トイレに行って腕の泥を落とし、車に戻って荷物を整理して岳温泉へ移動しました。温泉で身体の泥を流し、着替えて、福島駅から新幹線で帰宅です。
過去のトレランレースでは帰りの列車で座っていると膝がじわじわ痛くなるのですが、今回は全くそのようなことはありませんでした。ほとんど走っていない(ハイキング状態)だったからかもしれませんね。
次のレースに備えて力をつけたいと思います。