ラン×グラフ

ランニングしながらグラフを更新するブログ

東京チャレンジマラソン心拍数走実験レポ

先週土曜日2021/3/20の東京チャレンジマラソンに参加しました。今シーズン唯一のフルマラソンです。荒川河川敷を片道5キロ、往復で10キロを4往復とちょっと走るレースです。

結果は熱中症で倒れる前にリタイアしたのでDNF。1年以上待ったフルマラソンでのPB更新ならずどころか完走もできず無念でした。

でも得たものもあるので書いておきたいと思います。

更衣室も荷物預かりもブース出店も少しありましたが、こじんまりした大会であることが会場の様子からも分かります。

大勢が観戦するわけでもない屋外スポーツイベントは、特に小規模であれば昨今の状況でもリスクを回避して開催できますね。でもご苦労も多いことと思い本当に感謝です。

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スタート前の整列の様子です。特にアナウンスがなくてもみんなスタート直前までマスクをして間隔を空けて並んでいました。

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熱中症対策

そこそこ気温が高い予報だったので、前日も当日も出来るだけ対策をしました。

過去のレースの熱中症の経験

過去、気温が高かった横浜2018でゴール後に熱中症気味になり、荷物受け取りエリアから救護室まで車椅子で運んでいただき1時間以上休んで回復しました。

かすみがうら2019ではゴール後駅に行く途中で異常な疲労感で歩けなくなり、コンビニの駐車場でしばらく休みました。

気温が高かったおかやま2019では、ゴール後に横浜2018に似た熱中症気味な症状になったため、フィニッシュゲート直後で座り込み、会場から出てしばらく休みました。

このように、症状に気がついただけでも少し気温が高めなレースでは熱中症気味になってきたので暑さには要注意です。身体の中に熱がこもる体質のようで、寒さには比較的強いのです。

今回の熱中症対策と結果

まず前日に、これまでしたことがなかったウォーターローディングを行いました。麦茶、コーン茶などでふだんよりかなり多く水分を摂りました。

レース当日は駅、会場着時、スタート前と3回トイレにいってレース中に行きたくなる予防をしつつ、スポーツドリンクで現地でも少し水分補給します。(これは熱中症対策ではなくてトイレ対策ですが)

レース中は5キロ毎のエイド(給水所)の度にカップのスポーツドリンクを飲み残しなく飲み、ました。ハーフ前くらいからはカップに2杯ずつ、最後の給水ではカップ3杯摂りました。さらに、給水するごとにほぼ毎回、いわゆる塩タブを1つずつ摂っています。

それだけ気をつけたつもりでも、ハーフあたりから日が照って気温が急激に上昇した頃から、給水と給水の中間地点(両側の折り返し地点)の度に水分が切実に欲しくなります。

コロナ禍のレースなので、スタート、ゴール地点付近の両側にしかエイドを設置できなかったのは運営上、仕方ないと思いますが、その間にもう1箇所ずつ給水が欲しかったのは正直なところです。

ハンガーノック対策

カロリー補給の対策も行いました。

レース後にハンガーノックを経験していました

湘南国際2019でレース終了後、駅に向かう途中でハンガーノック状態になりました。他にもレース終了後ですがエネルギー切れを体感しているので、レース終盤とレース後のために計画的に補給することにしました。

今回は十分に補給

今回は8キロ毎に補給しました。前半2回はスポーツ羊羹、後半2回はジェルです。

熱中症対策に失敗したのと異なり、こちらはリタイア後もエネルギー切れを感じることなくうまくいったようです。(リタイア地点が38キロなのであと4キロありますが)

撃沈対策

そして前回の記事に書いたレース計画です。

rungraph.hatenablog.com

過去のレースは撃沈の山

これまで11回のフルマラソンのうち(ぎっくり腰後の1回を除くと10回)のうち、最後まで計画ペースで走れたのは湘南国際2018のみ、撃沈しなかったのはもう1つかすみがうら2018を合わせた合計2回のみです。

他はすべて撃沈で、終盤で歩いたり、歩かないまでもとぼとぼ走ったりしていました。これは気持ちの弱さもあるとは思いますが、心拍数を経過をみると一定の傾向がみられるので、その点からみるとオーバーペースだったのだと思われます。

撃沈レースはそこから学べるもこともたくさんあります。今回は過去の撃沈データを踏まえてレース計画を立てました

今回のレース計画

前回の記事に書いたように、心拍数が160bpm(以下、単位は省略)を超えないことを目安にすることにしました。

LT心拍数と思われる156付近まではペース維持を意識します。ガーミンの誤差を想定してキロ5:12目安(3時間39分24秒相当)のところ5:09あたりを目指して走ることにしました。

気温が高めなので残り10キロを切ったところから、心拍数を気にせずに最後までペース維持で走るという計画です。

レースの実際

ところが実際にはガーミンのラップ区間とキロ表示の位置にずれがほとんどありませんでした、ほぼキロ表示のあたりでガーミンがラップを音で知らせてくれます。

過去のレースではガーミンの通知がだんだんと早くなってきて最後はフィニッシュ地点の500mくらい手前で42.195kmを知らせていたので、それくらいの誤差があると想定したのですが、これが無かったわけです。(本当にガーミンが正しい距離だったのか、コースの距離が微妙に短かったのかは分かりません)

今回はほぼ誤差がないことがわかったのでキロ5:12まで落とすべきでした。しかしここで欲が出てしまい、5:09(3時間37分18秒相当)〜5:10(3時間38分00秒相当)目安で進みました。もともと3時間40分くらいが目安だったのでちょっと速すぎたかもしれません。

心拍数が156付近になったあたりからしばらく、ペースと心拍数の両方を見ながら走りました。これが16キロから24キロの区間です。ペースはそれ以前と変わりませんでした。

24キロあたりで心拍数が160を超えてきたので、ペースは気にせず心拍数だけを見て心拍数が160を上回らないことを目安に走りました。24キロから30キロまでは上り勾配を除けばペースは維持されています。

30キロを超えたあたりから同じ心拍数でもペースが落ちてきましたが(体感でも分かりました)、心拍数を159あたりに維持することを心がけて走りました。

34キロからさらにペースが落ち、35キロを超えたあたりから少し心拍数も下がりかけます。きつくても今シーズン1回切りのチャンスと頑張ってきたのですが、どうにも頑張りがきかなくなってきました。

想定外の撃沈、熱中症

36キロ、つまりフィニッシュまで残り6キロあたり、スタート、フィニッシュ地点あたりから身体にこもる熱が増して、急激に動けなくなりました。ちょうど給水地点だったので多めに水分を摂りましたが、心拍数を維持して走ることもできなくなり、極端にペースが落ちました。

沿道でランナーさん達を2人で応援している知り合いの前を元気なく通過してました(1周前には元気に走ってお二人の前を通過しこの時声をかけて認識してもらっていました)。

フィニッシュ地点まで4キロの地点で折り返し、お二人の前に戻って来るころには歩いたり、止まったりを繰り返す状態になっていました。過去の経験から熱中症になりかけなのが分かったので、タイムは気にせずとにかく少しずつ前に進んでいた状態だったのです。

なんとか歩いてお二人に再び近づいたところ、私のいる側に移動してきてくれました。私の状態を心配してくださり、まだ開栓していない飲料ボトルを提供してくれました。(フードの提供も申し出ていただきましたが、エネルギー切れの実感はありませんでした)

次のエイドまで1.5キロくらい水分補給できないと思っていたので、まさに干天の慈雨です。ほんとうにありがたかったです。神様かと思いました。

早めに熱中症疑いを判断できたので(コロナ禍で倒れるのはまずいし、熱中症は後遺症が残りかねない怖いものなので無理は禁物です)、しばらくお二人と話しながら休憩して動けるようになるのを待ちました。

目の前をサブ4ペーサー率いる集団が通りすぎたところで、レース継続は諦め、ガーミンの計測を止めます。ここでリタイアです。

リタイア後

何度か立ち上がってみて、なんとか歩けそうだと判断できたところで、お二人にお礼を言って、ようやくゴール地点に向かっておぼつかない足取りで歩きはじめ、途中まで心配して来てくれた妻と合流しました。

ゴール地点にたどり着いてリタイアを告げ、計測タグを外してもらい、ドリンク等を受け取り、しばらくレースを眺めながら休憩します。

熱中症とは別に腰が痛くなっていたので(フォームのせい?)、帰りの電車の乗り換えで苦労したりもしましたが、その後、体調悪化することもなく無事に帰宅しました。

翌日以降の疲労感は、4キロ足りなかったせいか普段のフルマラソンより軽いものでした。

それでも熱中症気味になっていたことも考えて3日間ランオフし、水曜から軽めの帰宅ラン再開です。

5キロ往復コースは意外と走りやすかった

河川敷5キロ往復というレースの構成自体は意外と快適でした。

5キロ毎に気持ちが切り替わり、往復すれば10キロなのでもう4分の1です。

また、他のランナーさん達とスライドし続けたり、速いランナーさん達が周回早く追い抜いていくのも、飽きずに走れる要因でした。

周回コースなのに、却って果てしなく感じることがなかったのは意外でした。

グラフで振り返り

さて、グラフで再度、レースを振り返ってみたいと思います。

まずペースの推移です。下のグラフには折り返し地点と給水地点、そして心拍数監視の開始位置、心拍数維持への移行地点を示しています。

30キロまでペースはほぼ一定で、その後36キロあたりまではペースが落ちているもののPB更新、3時間45分切りは余裕だったと思われます。 

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心拍数の推移をみてみましょう。16キロあたりで心拍数が156(LT相当)あたりまで上昇、24キロあたりで160を超えてきたのが分かります。

156(LT)付近から撃沈まで20キロ、160付近から撃沈までは12キロ程度でしょうか。過去のレースと同じように区間平均でカウントするとLTから19キロ、160から12キロです。(今回は160に達しないように159を維持したのですが実質的には160超と同等としてカウント)

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なおピッチをみると、心拍数を維持したあたりから少しピッチが落ちています。

それでもペースは維持されているので無意識にストライドを伸ばしピッチを下げることにより、心拍数上昇を防いでいたのかもしれません。

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心拍数上昇から撃沈までの距離と今後のレースの考え方

心拍数がLTや160を超えてから撃沈までの区間(距離)を過去のレースと比べてみました。

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上は心拍数上昇区間と撃沈箇所です。

下の2つのグラフは心拍数上昇から撃沈までの距離ですが、いずれも一定の範囲に入っていることが分かります。特にLT超えからの区間の幅は狭いことがわかります。(かすみがうら2018は計画ペースより低下するまでで、湘南国際2018は撃沈していません)

このうち熱中症気味になったのが、かすみがうら2019、おかやま2019、そして東京チャレンジです。この3つは心拍数が160を超えてから撃沈までの距離が短いことが分かります。

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ただし正確には今回は160を超えずに維持してきたので、「160を上回ってから残り何キロ」という判断は誤り、159なら大丈夫ということでは無さそうです。考えてみれば当然かもしれませんが。

この2つのグラフをみると、次のレースで試すべきは、

(1)フィニッシュまで16キロを切るまではLT(156)以下(150付近?)に維持

(2)その後は、気温が低い時はペース維持でフィニッシュまで、気温が高めの時は10キロを切るまで160を大きく下回る心拍数(156付近?)に維持、ラスト10キロはその時のペース維持でフィニッシュまで頑張る

というところでしょうか。

過去のレースと心拍数推移の比較

心拍数をどのようにコントロールしたらよいか、過去のレースと比較してみます。

まず熱中症気味になった横浜2018、かすみがうら2019、おかやま2019、東京チャレンジ2021(今回)と、最後まで計画ペースで頑張れた湘南国際2018を比較します。

今回の心拍数は他の熱中症マラソン(?)よりも心拍数は低めに保てていて、成功レースの湘南国際2018に近いように見えます。

ただしよくみると今回は少しずつ心拍数の高い区間が見受けられ、156を超えた区間が早くてその後低下せず、160近辺に張り付いています。 成功レースの方は156を一旦超えてもその後低下して、37キロ以降は(ペーサーにくいついて)心拍数が上がってもフィニッシュまで頑張って走り切れています。(気温も今回より低かったです)

心拍数をどのようにもっていけばいいか、参考になりそうです。

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走力の向上を確認したい

今回はリタイアしたので前回(湘南国際2019)から走力が上がったかどうか確認できなかった、と結論づけるのではもったないので、比較する方法を考えました。

前回と今回はほぼ同じペース(今回の方がたぶんちょっと速め)なので、同じ条件下(気温は違いますが)での心拍数を比較してみました。

下のグラフをみるとほぼ同じペース、むしろ今回の方がちょっと速く気温が高いにも関わらず、心拍数は明らかに低めに保たれています。

先のブログでみた1年間のペースと心拍数の関係と同じです。同じペースを低い心拍数で走れたということは、同じ心拍数であればより速いペースで走れるということでもあります。

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確かに今回、気温が上昇して急激に走れなくなる直前までは、前回より「楽」に走れていたような気がします。(レースの時の「楽」「つらい」記憶はすぐにねつ造されるので、気のせいかもしれませんが)

完走出来なくても、走力が確実に上がっているのを定量的に確認できたのは収穫です。

この方法を応用すれば、レースペースで30キロ走を行って心拍数を確認してレースペースが適切か判断するなどにも使えそうです。(気温の影響が小さい範囲の条件で、ですが)

今後の目標

今後はタイムをレースの目標とするのはやめてみようかなと思います。具体的なタイムではなく、その時のコンディションに合わせてベストタイムを出すことを目標にし、そのためにその方法を磨き上げていきたいと思っています。

レースの目標ではなくて、今後の走力底上げのために練習の目標として考えているのが、月間距離を少しずつ伸ばす(まだ200キロくらいなのでもう少し伸ばす必要がありそう)ことと、フォーム改善です。

また短い距離のレースに定期的に参加して、走力の変化の把握、モチベーションの維持にも努めてたいですね。

あとは最近さぼりがちになっていた筋トレでしょうか。

 一方でロードだけでなく、トレラン、オリエンテーリングなどのナビゲーションスポーツもこれまで以上に楽しみたいと思っています。