2017年度の湘南国際マラソンは私の初マラソンです。2018年度の湘南国際マラソンで初サブ4(3:55)を達成しました。今年、2019年度ではサブ3:45を目指しました。
結果は自己ベスト(3:44)を7分更新した3:37で、残念ながらサブ3:45は達成できませんでした。
いつもなら実力不足を認めるところで、ゴール後はそう思っていたのですが、今回はどうもそうではないようです。
まずは今回のレースの反省点およびマイナス面を列挙してみます。
- 去年の2月以降、レース時の最大体重でした。といってもふだん62~63キロの範囲内なのが63.4キロだったという程度ではありますが、少し油断していました。
- 品川駅からの直行バスを予約していたのに、なんとなく新宿のバスタに向かってしまい(そういえば富士山麓トレイルランの時に乗ったバスのことを思い浮かべていました)、新宿駅で気がついて、品川駅まで戻り東海道線で二宮駅に向かいました。そして二宮駅から会場まで35分ほど歩きました。(ここでちょと足を使ってしまった)去年も同じだったので分かっていたのですが、会場に入ってから歩かされる距離が長く時間がかかり、着替えて荷物預けてCブロックの後ろ近くに整列する頃には、待機列からコースへの移動が始まりつつある頃でした。
- 朝からスタート時刻あたりまでは寒かったのですが、気温の上昇が早く、この季節にしては比較的暑い日でした。私はレース時の暑さに弱いにもかかわらず、暑かったかどうかに比較的鈍感なようです。それでも走っていて前半から暑くなってきたのは感じていました。第1折り返し地点以降は比較的日影が多いため、直射日光が遮られるところが多く、暑いという感覚は忘れていました。ゴール後に「暑かったよね」と何人かから言われて、そうだっけと思ったくらいです。
- 終盤でサブ3:45のペースメーカーが後ろから来たのを見つけて、去年のサブ4の時を思い出して、ペーサーに無心でついてきました。実はこれが最大の反省点です。
- ゴール後、バスに乗っている時に急に身体に力が入らなくなり強い空腹感に襲われました。おそらくハンガーノックだったと思われます。
事前の予想は「サブ3:45ぎりぎりで達成できる」というものでした。根拠は下の横軸をVDOT、縦軸をレースの距離としたグラフです。
「平均的」なランナーであれば、距離にかかわらずVDOTはおおむね同程度になるのですが、私は短距離に対して長距離が遅いタイプ(速筋と遅筋の割合?)のようで、下のグラフのように距離が短いほどVDOTが大きく(速く)なっています。
去年の目黒シティラン(10km)のVDOTから3:45を達成した湘南国際マラソンのVODTを結んだ線(太い矢印のついて線の左側)を、今年の目黒シティランに平行移動した先には3:45の赤い○2019目標があります(平行線は引いていませんが)。目黒シティランと湘南国際マラソンは1週間しか間がないので、そのVDOTの比は同じになるだろう考えました。
そのため目黒シティランの目標を45分とし結果は45分40秒でした。サブ4を大きく下まわるタイムは出せないかもしれないけど、ぎりぎりいけるだろうと予想したのはこのためです。
実際の結果が○2019目標の左側にある●です。残念ながら右側の太線は左側の太線に平行になりませんでした。
それでは実際のレース運びはどうだったでしょうか。
計画ペースは、渋滞が予想される区間を含む最初の5キロがキロ5:35、後はキロ5:15のイーブンペースです。この設定で3:43:11となります。1分49秒の余裕があります。
5キロ毎の通過時間を書いたテープを左手首に貼っておきました。ガーミンにインストールしたAirPacer+で設定タイム(3:43:11)に対してどれくらい遅れているか進んでいるか5キロ毎にチェックしました。(AirPacer+ではガーミンの誤差を最大400mまで想定して計算してくれるので、ぎりぎりのタイム設定にしなければ誤差を気にせずに使えます。ただしそれでも誤差がカバーできないこともあるので要注意です)
3週間前のおかやまマラソンの反省を踏まえて、つらくなって若干ペースが落ちそうになっても頑張ると決めました。
下のグラフが全体の結果です。湘南国際マラソンでは10キロ毎にしか公式の通過タイムを記録してくれないので、「区間ペース」のグラフが10キロ平均となっています。
下は計画ペースや3:45ペースとの関係が分かるように縦軸を拡大したグラフです。
5キロまでの計画平均ペースは5:35なので、最初の10キロ平均で5:25の計画でしたが、実際にはそこまで渋滞の影響は大きくなく平均5:17で進めました。ここで1分20秒の貯金ができました。
この1分20秒の貯金を減らさないよう、(オーバーペースで)増やしすぎないよう、頻繁にガーミンをチェックしながら走ります。結果として1分20秒~1分40秒の範囲の貯金を維持してイーブンペースで走ります。
25キロを超えたあたりから油断するとペースが落ちかけますが、ペースを確認し遅れている場合には、フォームを整えることでペースを戻します。
苦しいように感じたときも、きつさには波があって辛抱していれば楽になる、という金哲彦さんの言葉を思い出して気持ちを引き締めます。
これで30キロを超えて35.5キロくらいまで進みました。
ここで後ろからペーサーがやってきました。
サブ3:45のペーサーはAブロックの最後尾からスタートという昨年のどなたかのブログに書いてあったので、今回は終盤でペーサーに追いつけるかどうかと予想していました。現地入りが遅れてCブロックの後ろの方に並び、ロスタイムが4分もあったので、追いつけない可能性もあると覚悟していました。
それが驚いたことに後ろからやってきたのです。
エイドの直前でペーサーに遭遇しエイドで給水している間に20メートルほど置いて行かれましたが、ペースを整えじわじわとペーサーに背後に近づきます。ゼッケンをみたらやはりサブ3:45ペーサーでした。
ペーサーにつけば勝ったも同然、昨年のサブ4の成功体験をもう一度と思い、ペーサーのすぐ後ろにつけて頑張って走ります。この時まではサブ3:45を大きく上回る(より速い)タイムでゴールできると確信していました。
なにしろ1分49秒の設定タイム上の余裕に加えて1分20秒の貯金があるのです。3分も余裕があれば、仮に最後において行かれても大丈夫という計算です。
ペースはペーサーに任せればいいので、ガーミンをほとんど見ずに無心でついていきました。
ところが1.7キロほど走ったところで急激にきつくなり、次のエイドでついていけなくなりました。
この時には自分の力不足、あるいはメンタルの弱さだろうと思っていました。ここからまだ5キロあったので、メンタルだけで頑張れたかどうかとも思っていました。
ゴール後にラップタイムをみて気がつきました。上のグラフでいえば、35.5キロあたりから37キロ過ぎのエイド直前までのペースをみてください。
なんとキロ5分より速いペースです。
ガーミンの生データをみると36ラップが5分11秒、37ラップが4分56秒となっていました。
フルマラソン3時間45分の平均ペースはキロ5分19秒、3時間40分でもキロ5分12秒です。キロ5分を切るのはサブ3:30の平均ペースですよね。
これに着いていってしまったのが最大の判断ミスでした。
去年のサブ4の時のペーサーは前後に間隔が離れて私が気がついただけでも3人いました(私は2人目についていきました)。今回も私が脱落した先頭のペーサーの後ろにそうとうの間隔をおいてまだ2人のサブ3:45ペーサーがいたのです。(力尽きた私はそのどちらにもついていけませんでしたが)
つまり3人のペーサーは、いわば松、竹、梅の位置づけで、3:45からどれだけ大きくタイムを縮めるか、という趣旨だったのだと思われます。
それに気がつかずに先頭の松ペーサーについてキロ5分を切るようなペースで1.7キロも走ってしまった。当然のことながらオーバーペースです。
下のグラフをみるとこの区間で心拍数が急激に上昇し、170を超えてしまっていることが分かります。
去年の湘南国際マラソンではサブ4ペーサーに必死に着いていって、びっくりするほど心臓が苦しかったのを覚えています。その時の心拍数と比較したのが下のグラフです。
この時はペーサーについて走ったのが36キロから先で、最後はペーサーを振り切ってゴールまで走りました。あの苦しかった時でさえせいぜい心拍数165かそれをちょっと上回る程度でした。
今回はペーサーに追いつく前でも170に近づきつつあったくらいですから、ペーサーを気にせずに自分のペースを守り、場合によっては貯金の3分を少しずつ崩してでも、最後まで走りきればサブ3:45を達成できた可能性があったのではないでしょうか。
もう1つ参考に、撃沈した4月のかすみがうら、そして歩かなかったもののやはり撃沈した3週間前のおかやまマラソンの心拍数を比較したグラフを作ってみました。
27キロまではおかやまと、それ以降はかすみがうらと似た推移ですが、その後、さらに頑張れていることが分かります。(かすみがうらもおかやまも暑かったからですが)
かすみがうらの時は、自分で時計をみて(ただし5キロ毎の答え合わせをしていない)、自分の判断でペーサーについていくのをやめたのは判断ミスだったと反省しました。(実際は暑さで撃沈したのでどちらでも同じでしたが)
今回はそれを教訓として誤って学んでしまい、ペーサーについていくからには、自分ではペースを確認せずペーサー任せにしてしまったのが判断ミスだったのです。
ペーサーについていかなければ本当にサブ3:45を達成できたかどうかは、やってみないと分かりませんが、少なくとも大きな判断の誤りだったのは間違いありません。
ということは、サブ3:45の力がなかったわけではない、ということです。つまり次の機会に適切な判断が出来れば、サブ3:45を達成できる可能性が大いにあるということです。
こつこつとやるべきトレーニングを積み重ねることに加え、レース時の判断も重要な様相になるのだな、という教訓を新たに学ぶことができました。
残念ながら目標は達成できませんでしたが、自己ベストは7分更新できましたし、新しく学べることがあったのは結果としてよかったと思います。
ピッチ
撃沈した後ですがもう1つ反省点。下のグラフはピッチです。14キロあたりのエイドは混雑でちょっと歩きました(バナナを取ったエイドだったかも)、32キロ手前のエイドは歩いて取りましたがロスタイムは10秒ほどだったと思います。37キロの撃沈したエイドでは、2回歩いて何かを取ったような記憶があります。
問題は「立ち止まり」と書いた2箇所です。苦しくても最後まで走り続けると決めたのに、2回立ち止まってそれぞれ1分ちょっと膝に手をついて休みました。特に最後の1回はフィニッシュまであと1キロもない地点です。これはさすがに情けない。
補給
持参した食糧としては、スポーツヨーカンを2本、7キロと14キロで摂り、21キロ過ぎでジェルを摂りました。
エイドではスポーツドリンクを摂りましたが、折り返し付近の間が短いエイド1箇所と、終盤ではトイレに行きたくならないよう2つほど飛ばしたと記憶しています。
エイドでの食糧はバナナが1回(あと1回つかみそこね)、終盤でおにぎりを取りましたが、これは胃の負担が大きそうなので一口でやめました。
結果としてエネルギーの補給不足もあったと思います。
帰りのバスに乗るまではなんともなかったのでレースには影響はなかったかもしれませんが、バスの中で急に強い空腹と脱力感がありハンガーノック症状になってしまいました。
駅前の喫茶店に入って軽食を取ってしばらく休み、さらに平塚の駅に移動して食事を取って休んだところ、血糖値が上がったのか急に元気になりました。
エネルギーの補給はレース後のためにも必要なのですね。(湘南国際マラソンはゴール後に水のペットボトルしかもらえないので、自前でなにか食べるものを用意しておけばよかったかもしれません。)
次の目標
ゴール直後は「またサブ345できなかった。力不足」と思っていたのですが、上にいろいろ書いたように、力はあったけど判断ミスが理由だった可能性が高いことが分かり、モチベーションが上がりました。
次は1月末頃の勝田全国マラソンです。ここで挑戦するか、3月の古河はなももで挑戦するか迷うところです。
Advanced Marathoning に示された、レース間隔が短い時(12週以下の時)のトレーニング方法の冒頭に、2つ目のレースでその時点のベストを目指す方法ではあるが、自己ベストの更新を望めるものでも、1つ前のレースの記録を上回ることを望めるものですらない、ようなことが書いてありました。
じっくり検討した上で、あらためてサブ3:45、できればよりよいタイムを目指して日々の練習の励みにしたいと思います。